【雑所得と事業所得の違い】300万円基準と裁判例からみる判断基準をわかりやすく解説
結論
帳簿をつけて保存しているかどうか、収入が300万円を超えるかどうか、さらに営利性や継続性があるかどうかが、雑所得と事業所得を分ける大きなポイントです。
1. 解釈通達による判断基準
国税庁の通達で示されている基準をまとめると次のようになります。
(所得税法基本通達35-2)
事業所得か雑所得かどうかは、収入金額300万円基準と帳簿の記録・保存の有無が判断材料として記載されています。
① 収入300万円超 +帳簿の記録・保存あり
- 事業所得の可能性が高い
- ただし、3年程度赤字で、赤字解消の取組み☆がなければ個別判断
☆ここでいう、赤字解消の取組みとは、収入増加や黒字化を目指す営業活動を指します。
② 収入300万円超 +帳簿の記録・保存なし
- おおむね雑所得
- ただし、事業所得と認められる事実☆があれば例外的に事業所得
☆事業所得と認められる事実=事業と認められる=事業的規模である、は同じ解釈ですので、下記2を参照してください。
③ 収入300万円以下 + 帳簿の記録・保存あり
- おおむね事業所得
- ただし、
・3年程度の収入がメイン収入の10%未満
・3年程度赤字で、赤字解消の取組みなし
→ この場合は個別判断で雑所得とされる可能性あり
④ 収入300万円以下 +帳簿の記録・保存なし
- 雑所得の可能性が大きい
- 資産の譲渡は「譲渡所得」や「その他雑所得」(山林の解説は省略)
2. 裁判例による実質的な判断基準
事業所得と認められるかどうかは、『その所得を得るための活動が社会通念上事業と称する程度で行っているかどうか』で判断します。裁判例では次のような要素が重視されています。(最判昭和56年4月24日、東京地判昭和48年7月18日)
- 営利性・有償性があるか
- 継続性・反復性があるか
- 自己責任で事業を運営しているか(企画遂行性)
- 費やした労力の程度(精神的・肉体的)
- 人的・物的設備(事務所・人員など)の有無
- 取引の目的
- 職業・職歴・社会的地位
- 生活状況
つまり、「利益を出す目的で、継続的に、自らの責任で労力や設備を投じて事業的に取り組んでいるか」等々がポイントになります。
3.副業の方への注意点
副業で収入を得ている方にとっても、事業所得か雑所得かの区分は非常に重要といえます。
- 計算式は同じ
事業所得も雑所得も「収入-経費」で所得を計算するのは同じです。 - 大きな違いは損益通算
事業所得なら赤字を他の所得(給与所得など)と相殺できるため、節税につながる場合がありま す。 - ただし事業所得に該当するかどうかのハードルを越える必要あり
事業所得と認められるには、上記1の通達や2の裁判例にあるように「社会通念上、事業といえる規模・内容」であることが求められます。
税務署の調査でも重点的に確認されるポイントであり、あくまで立証責任は納税者側にあることを忘れてはいけません。
したがって、副業で稼ぐ方ほど、帳簿書類の記録・保存の重要性が高いといえます。
4. まとめ
- 収入300万円と帳簿保存が分かれ目
- 帳簿をつけて保存し、継続的に営利活動をしていれば「事業所得」になりやすい
- 帳簿なしや少額な収入は「雑所得」とされやすい
- 最終的には「社会通念」で事業と呼べるかどうかが判断基準
- 副業の場合は事業所得と認められるには一定の要件と証明が必要
- 納税者側で説明できる体制を整えておくことが重要
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税理士 野﨑 梨沙